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隠れ糖尿病

食後にぐったりしませんか?

食後にぐったりしませんか?

糖尿病は、食事などで摂取した糖質を細胞がうまく利用できず、血中にブドウ糖があふれかえった状態で(高血糖状態)、血管にダメージがたまっていき、全身に様々な不調を起こす病気です。
しかし、糖尿病と診断されていない方でも、食事などに影響されて高血糖状態が起こることが知られており、時には食後血糖値が140mg/dLを超えることも珍しくありません。
血糖値が上昇しやすいのは、人によって異なりますが一般的に食後1~2時間の間で、この間に血糖値が急上昇することを「血糖値スパイク」と呼んでいます。
血糖値が急上昇することによって、食後やけに疲れてしまう、急激に眠くなってしまうなど元気がなくなってしまうことが多いようなら、血糖値スパイクが起こっている可能性を疑ってみる必要があります。糖尿病を発症しないためにも、日ごろからご自身の血糖値管理のために食事内容や食べ方などに心を配っておくことが大切です。

隠れ糖尿病とは

通常の健康診断では空腹時血糖値が採用されています。ところが、空腹時の血糖値は正常範囲であっても、食後血糖値が高値を示している可能性があります。この場合、検査では糖尿病と診断されていなくても、実は糖尿病を発症してしまっているという場合が見受けられます。そうした状態を「隠れ糖尿病」ということがあります。
隠れ糖尿病では、空腹時血糖値は正常範囲でも食後血糖値が目立って高くなる「血糖値スパイク」が生じているため、一般的な健康診断では異常を指摘されないまま、糖尿病が進行してしまうことになります。

なぜ健康診断で見逃されるのか

健康診断では空腹時血糖値を、また、糖尿病の疑いのある方には医療機関でHbA1cを計測することが多くなっています。空腹時血糖値では、食後の血糖値スパイクの状態は分かりませんし、HbA1cは1~2か月間の血糖値の変動を平均値としてあらわしています。そのため、一般的にはHbA1c 6.5%未満を基準としています。
血糖値スパイクや低血糖なども平均化されてしまい、全体的な高血糖状態しかわからないため、食後血糖値の高い隠れ糖尿病が見過ごされやすくなってしまいます。
当院では、隠れ糖尿病が疑われる患者様に対しては、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施して、診断するようにしています。OGTTは空腹時に血糖値を測り、すぐに75gのブドウ糖を経口摂取し時間経過とともに採血して血糖値を測定する検査で、食後血糖値の変動を正確に把握することができます。
また、患者様ご自身に血糖値を測っていただく血糖自己測定(SMBG)は、毎日必要なタイミングで血糖値を測定でき、血糖値の状態を把握できるため、お勧めの方法の一つです。

隠れ糖尿病の診断(糖尿病の診断基準)

以下3点のいずれかに当てはまると「糖尿病型」と診断されます。

  1. 空腹時血糖値が126mg/dL以上
  2. 随時血糖値(食後血糖値)が200mg/dL以上
  3. 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間後値が200mg/dL以上

別の日に行ったこれらの検査で、2回糖尿病型に相当した場合、糖尿病と診断されることになります。
一般的に空腹時血糖値が糖尿病型になるより、早期のうちに随時血糖値が糖尿病型になることが知られています。
また、上記の2項目が糖尿病型になっていない場合でも

  1. 口渇、頻尿、水分摂取量の増加、体重減少など典型的な糖尿病の症状があらわれている
  2. HbA1cの数値が6.5%以上になっている
  3. 糖尿病網膜症があらわれている

これらのどれか1つでも当てはまれば、糖尿病と診断されます。

隠れ糖尿病を発見するためには、健診の際の空腹時血糖値だけではなく、随時血糖値とHbA1c、必要に応じて75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行う必要があります。

隠れ糖尿病が疑われたときの検査

75g経口ブドウ糖負荷試験
(OGTT)

まず空腹時血糖値を測定し、その後75gのブドウ糖を服用します。それから30分後、1時間後、2時間後と服用後3回採血して血糖値を測定します。これにより、食後に血糖値スパイクが起こっていないかなどについて正確に確認することができます。

ブドウ糖負荷試験が推奨される方

1.強く推奨される場合
(現在糖尿病の疑いあり)
空腹時血糖値 100-125mg/dL
随時血糖値 140-199mg/dL
HbA1c 6.0-6.4%
2.行うことが望ましい場合
(将来糖尿病を発症するリスクが高い)
空腹時血糖値 100-109mg/dL
HbA1c 5.6-5.9%

上記1、2の基準を満たしていない場合でも、血縁の家族に糖尿病の病歴がある方、現在肥満状態にある方、高血圧・脂質異常症など生活習慣病の病歴のある方については、OGTT検査を受診することが推奨されています。

正常の方は食後血糖値が140mg/dlを超えません

  • 食後血糖値を測ったら、その時だけ140mg/dLを超えていた
  • 健康診断の尿検査で尿糖が陽性だった
  • HbA1cの値が5.6以上の正常高値と指摘された
  • 空腹時血糖値が100mg/dLを超えていた

上の2つは、正常値を超えていて、糖尿病型と判断される要素となります。また下の2つは正常値の範囲内ですが、その中でも高めの数値で正常高値などと分類されることもあります。ただし、このどれかが当てはまるだけでは、糖尿病とは診断されません。
また、正常高値やたまたまの検査で糖尿病型が一度でも指摘された場合、きわめて糖尿病が疑わしい状態、またはそれに近づいている状態である可能性が高くなっています。
健康な方であれば食後血糖値は140mg/dLを超えることはありません。また、血糖値が160~180mg/dLを超えている場合、尿糖が出る可能性が高くなります。つまり一度でも尿糖が出た場合も隠れ糖尿病を発症している可能性が極めて高いということが言えます。

糖尿病予備群も油断できない

はっきりと糖尿病とは診断できないが、きわめて糖尿病に近い状態である糖尿病予備群との指摘を受けている場合も安心できません。放置すればそのまま糖尿病に移行しやすいだけではなく、冠動脈障害(狭心症や心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)といった動脈硬化が原因となって起こる大動脈障害になりやすいことがわかっています。
こうした状態に当てはまる方は、高血圧、脂質異常症、肥満、内臓脂肪型肥満などを合併していることが多く、動脈硬化のリスクはさらに高くなっています。
食事療法、運動療法などを含め生活習慣の改善に取り組み、糖尿病発症へ至る前に血糖値をコントロールすることが大切です。

隠れ糖尿病、糖尿病予備軍は早めにご相談ください

隠れ糖尿病、糖尿病予備軍は早めにご相談ください糖尿病型や隠れ糖尿病の可能性、境界型などの指摘を一度でも受けた場合、重篤な合併症を含む糖尿病発症リスクが非常に高い状態と言えます。こうした指摘を受けた方は、まだ発症していないからと安心することなく、できるだけ早めに糖尿病の専門医を受診し、適切な治療を受けましょう。
糖尿病は一度発症すると、完治することはありませんが、適切な指導を受けて血糖値コントロールを行うことで、健常な人と変わらない日常生活を送ることを目標とします。
当院の院長は糖尿病専門医に認定されており、豊富な臨床経験をもって適切に対応しますので、お気軽にご相談ください。

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